住宅ローン比較・検証

高田亮介 | 公的機関データに基づき作成

繰上返済は期間短縮型が約2倍お得|返済額軽減型との利息削減比較【2026】

住宅ローンの繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2方式があり、利息削減効果は期間短縮型が約2倍大きくなります。 借入3,500万円・金利1.0%・35年ローンで100万円を繰上返済(借入5年目)した場合、期間短縮型なら約28.3万円、返済額軽減型なら約15.2万円の利息削減です。

本記事では2方式の違い、金利別シミュレーション、住宅ローン減税との関係、 2026年の金利上昇局面での最適な繰上返済戦略を解説します。

繰上返済の仕組み

繰上返済とは、毎月の返済とは別にまとまった金額を追加で返済することです。 通常の返済では毎月の返済額が「元金部分+利息部分」に分かれますが、 繰上返済した金額は全額が元本の返済に充当されます。 元本が減ることで、その元本にかかるはずだった将来の利息が不要になります。

繰上返済の手数料:住宅金融支援機構のフラット35では繰上返済手数料は無料です。 民間銀行もネット手続きなら無料のところが多いですが、 窓口手続きでは5,000〜3万円の手数料が発生する場合があります。 (参考:住宅金融支援機構 繰上返済

期間短縮型の特徴と効果

期間短縮型は毎月の返済額はそのままで返済期間を短くする方式です。 利息削減効果が最も大きく、早期完済を目指す方に最適です。

メリットデメリット
利息削減効果が最大(返済額軽減型の約2倍)月々の返済負担は変わらない
定年前の完済を目指せる手元資金が減り、急な出費に対応しにくくなる
ローン完済が早まることで精神的にも楽に一度返済した資金は戻せない

返済額軽減型の特徴と効果

返済額軽減型は返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす方式です。 家計の余裕を確保したい方、金利上昇に備えたい方に向いています。

メリットデメリット
毎月の家計に余裕が生まれる利息削減効果は期間短縮型より小さい
変動金利の上昇に備えたバッファを作れる返済期間は短くならない
育児・介護など収入減の時期に対応しやすい完済時期を早められない

2方式の利息削減効果を徹底比較

借入3,500万円・35年ローンで、借入5年目に100万円を一括繰上返済した場合の 効果を金利別に比較します。

金利期間短縮型の利息削減返済額軽減型の利息削減期間短縮の効果
0.5%約12.5万円約6.8万円約10ヶ月短縮
1.0%約28.3万円約15.2万円約10ヶ月短縮
1.5%約46.8万円約25.1万円約11ヶ月短縮
2.0%約67.5万円約36.2万円約11ヶ月短縮

金利0.5%では100万円の繰上返済で約12.5万円の利息削減ですが、 金利2.0%では約67.5万円と5倍以上の効果があります。 2026年の金利上昇局面では、繰上返済の効果が以前より大きくなっています。

年間繰上返済の累積効果シミュレーション

借入3,500万円・金利1.0%・35年ローンで、毎年100万円ずつ10年間繰上返済した場合の 累積効果です。

項目期間短縮型返済額軽減型繰上返済なし
繰上返済の合計1,000万円1,000万円0円
返済期間約18年(17年短縮)35年(変わらず)35年
総利息約304万円約480万円約655万円
利息削減額約351万円約175万円
完済時年齢(35歳借入)53歳70歳70歳
期間短縮型なら1,000万円の繰上返済で17年も返済期間が短縮され、 35歳で借りたローンが53歳で完済できます。 利息削減額は約351万円と、繰上返済額の35%に相当する「確定リターン」が得られます。

繰上返済のベストタイミング

繰上返済の効果は早い時期ほど大きいです。 ローン初期は返済額に占める利息の割合が高いため、 早期の繰上返済で削減できる将来利息が多くなります。

繰上返済のタイミング100万円の利息削減効果(金利1%・35年)
借入1年目約33万円
借入5年目約28万円
借入10年目約22万円
借入20年目約11万円
借入30年目約3万円

1年目の繰上返済は30年目の約11倍の効果があります。 「余裕ができたら繰上返済しよう」ではなく、計画的に早い段階から繰上返済することが重要です。

住宅ローン減税との関係

住宅ローン減税(控除率0.7%)の適用期間中に繰上返済すると、 ローン残高が減るため控除額も減少します。 ローン金利と控除率の関係で判断しましょう。
  • 金利0.7%以下 → 控除期間中は繰上返済を控え、控除終了後にまとめて返済した方が有利
  • 金利0.7%〜1.0% → ケースバイケース。シミュレーターで比較を
  • 金利1.0%超 → 利息負担が控除額を上回るため、繰上返済のメリットが大きい

住宅ローン減税の控除額計算・適用期間・2026年の新制度の変更点については、【2026年最新】住宅ローン減税の仕組みと控除額|新制度の変更点を解説で詳しく確認できます。

2026年の金利上昇局面での繰上返済戦略

変動金利が1%を超えた2026年、繰上返済の重要性が増しています。 状況別のおすすめ戦略を整理します。

状況おすすめ方式理由
金利上昇に不安がある返済額軽減型月々の返済額を下げてバッファを確保。さらに金利が上がっても耐えられる家計に
65歳までに完済したい期間短縮型返済期間を確実に短縮し、定年前の完済を実現
住宅ローン減税の控除期間中金利1%超なら期間短縮型控除率0.7%を金利が上回っているため、繰上返済の方が有利
教育費のピーク期返済額軽減型月々の余裕を確保し、教育費と両立
まとまった資金がある(退職金等)期間短縮型一括で大きく期間を短縮。ただし老後資金は確保した上で

変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか迷っている場合は、住宅ローンの固定金利vs変動金利|選び方の判断基準を解説も参考になります。金利タイプによって繰上返済の優先度も変わります。

繰上返済 vs 投資(新NISA)の判断基準

余裕資金を繰上返済に回すか、新NISAで運用するかの判断基準はローン金利と期待リターンの比較です。

  • 金利1.0%以下:新NISAの長期運用(期待リターン3〜5%)が有利な可能性が高い。 ただし投資にはリスクがあるため、リスク許容度を考慮
  • 金利1.0%〜2.0%:繰上返済と投資を半々で行う「併用戦略」がバランスが良い
  • 金利2.0%超:繰上返済を優先。年2%の確定リターンは投資に匹敵する高い効果
繰上返済の利息削減は「確定リターン」です。 投資の利回りは不確実ですが、繰上返済の効果は確実に得られます。 「迷ったら半分ずつ」が安全な判断です。

なお、金利が現在のローンより大きく下がっている場合は、繰上返済より借り換えが有利になることがあります。判断基準は住宅ローン借り換えの損益分岐点は?メリット・デメリットと判断基準で詳しく解説しています。

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まとめ

繰上返済は住宅ローンの総コストを確実に削減できる手段です。 利息削減を最大化したいなら「期間短縮型」、月々の余裕を確保したいなら「返済額軽減型」。 2026年の金利上昇局面では繰上返済の効果が以前より大きくなっており、 金利1%超なら住宅ローン減税の控除期間中でも繰上返済のメリットが上回ります。 早い時期ほど効果が大きいため、計画的に実行しましょう。 当サイトのシミュレーターで年間50万・100万・200万円の繰上返済効果を確認できます。

参考資料:住宅金融支援機構 繰上返済住宅金融支援機構 返済方法変更シミュレーション