住宅ローン比較・検証

高田亮介 | 公的機関データに基づき作成

ペアローンで元金均等返済は選べる?共働きのローンの組み方と返済方式を解説

共働き世帯が住宅ローンを組む場合、夫婦の収入をどう活かすかによって「ペアローン」「収入合算(連帯保証型・連帯債務型)」「単独ローン」の3つの選択肢があります。それぞれの仕組み・メリット・デメリットを比較し、最適な組み方を解説します。

3つの借入方法の違い

項目ペアローン収入合算(連帯保証)収入合算(連帯債務)
契約本数2本(夫婦それぞれ)1本(主債務者)1本(夫婦で連帯)
借入可能額夫婦の年収をフルに合算合算者の収入の50%まで加算が一般的夫婦の年収をフルに合算
住宅ローン減税夫婦それぞれ適用主債務者のみ夫婦それぞれ適用
団信(団体信用生命保険)夫婦それぞれ加入主債務者のみ金融機関による(片方のみが多い)
諸費用2本分かかる1本分1本分
所有権共有名義(持分割合を設定)主債務者の単独名義が一般的共有名義

ペアローンの仕組み

ペアローンは夫婦がそれぞれ独立した住宅ローンを1本ずつ契約する方式です。 お互いが相手のローンの連帯保証人になります。

メリット

  • 借入可能額が最大になる — 夫婦の年収をフルに活用して審査を受けられる
  • 住宅ローン減税を夫婦で受けられる — それぞれのローン残高に対して控除が適用
  • 団信に夫婦とも加入 — どちらかに万一のことがあっても、その分のローンは完済される
  • 金利タイプを分けられる — 夫は変動金利、妻は固定金利といった組み合わせも可能

デメリット

  • 諸費用が2本分かかる — 事務手数料・印紙代・登記費用などが倍になる(目安:+30〜50万円)
  • どちらかが収入減になるとリスクが高い — 育休・転職・退職で片方の返済が厳しくなる可能性
  • 離婚時の処理が複雑 — ローンが2本あるため、物件の売却・名義変更の手続きが煩雑

収入合算(連帯保証型)の仕組み

主債務者が1本のローンを契約し、配偶者の収入を審査上の年収に加算する方式です。 配偶者は連帯保証人となります。

メリット

  • 諸費用が1本分で済む — ペアローンより初期費用を抑えられる
  • 手続きがシンプル — 契約は1本なので管理しやすい

デメリット

  • 住宅ローン減税は主債務者のみ — 配偶者の税制メリットがない
  • 団信は主債務者のみ — 配偶者に万一のことがあっても返済は続く
  • 合算できる金額に制限がある — 配偶者の年収の50%までとする金融機関が多い

収入合算(連帯債務型)の仕組み

夫婦が1本のローンを連帯して返済する義務を負う方式です。 フラット35で利用できるのがこのタイプです。

メリット

  • 借入可能額を最大化 — 夫婦の年収をフルに合算できる
  • 住宅ローン減税を夫婦で受けられる — 持分割合に応じて控除が適用
  • 諸費用は1本分 — ペアローンより初期費用が安い

デメリット

  • 団信は原則片方のみ — フラット35の「デュエット」で夫婦加入も可能だが、金利が+0.18%上乗せ
  • 取り扱い金融機関が限定的 — 民間銀行では連帯債務型を扱わないところも多い

元利均等返済と元金均等返済の違い

ペアローンでも収入合算でも、返済方式は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つから選べます。 ただし、元金均等返済を取り扱わない金融機関もあるため事前確認が必要です。

項目元利均等返済元金均等返済
毎月の返済額一定(元金+利息の合計が固定)徐々に減少(元金部分が固定、利息が減る)
初回の返済額低い高い(元利均等より約1〜2割増)
総返済額多い少ない(同条件で数十万〜100万円以上の差)
審査の通りやすさ通りやすい初回返済額が高いため審査がやや厳しい

ペアローンで元金均等返済を選ぶメリット

  • 総返済額を抑えられる — 借入4,500万円・金利0.7%・35年の場合、元金均等は元利均等より約57万円総返済額が少ない
  • 子育て費用がかさむ時期に返済額が減っている — 教育費が増える10〜15年後には月々の返済額がかなり下がっている
  • 夫婦で返済方式を分けられる — ペアローンなら「夫は元金均等、妻は元利均等」のように個別に設定可能

返済額シミュレーション(借入2,500万円・金利0.7%・35年)

時期元利均等返済元金均等返済
1年目(月額)約67,200円約74,300円
10年目(月額)約67,200円約69,200円
20年目(月額)約67,200円約63,700円
30年目(月額)約67,200円約60,100円
総返済額約2,822万円約2,806万円
元金均等を扱う主な金融機関:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、住信SBIネット銀行など大手は対応しています。 ネット銀行の一部(PayPay銀行等)は元金均等を取り扱っていない場合があるため、 申し込み前に確認しましょう。

ペアローン × 元金均等を選ぶべき人

  • 夫婦とも正社員で安定収入があり、初期の返済額が高くても問題ない
  • 借入額が大きく、総返済額の差を重視したい
  • 将来の教育費ピークに備えて、返済額が自然に減る仕組みにしたい
注意:元金均等返済は初回返済額が高くなるため、返済負担率の審査が元利均等より厳しくなります。 ペアローンで元金均等を選ぶ場合は、夫婦それぞれの審査で余裕をもたせることが重要です。

具体的なシミュレーション比較

世帯年収800万円(夫500万円・妻300万円)、借入額4,500万円、金利0.7%(変動)、35年返済の場合を比較します。

項目ペアローン収入合算(連帯保証)
借入配分夫2,800万円 + 妻1,700万円夫4,500万円(妻の収入を加算)
月々の返済額約12.1万円(合計)約12.1万円
住宅ローン減税(13年間合計)夫婦合計 約320万円夫のみ 約270万円
諸費用約140万円約100万円
実質的なメリット差ペアローンの方が減税で約50万円有利、ただし諸費用が約40万円多い → 差額は約10万円

どの方式を選ぶべき?判断のポイント

ペアローンが向いている世帯

  • 夫婦とも安定した収入がある — 正社員同士で今後も働き続ける見込みがある
  • 借入額が大きい — 住宅ローン減税の恩恵を最大化したい
  • 万一のリスクに備えたい — 夫婦それぞれが団信に加入できるメリットを重視

収入合算が向いている世帯

  • 配偶者がパート・時短勤務 — ペアローンの審査に通りにくい場合
  • 将来的に片方が退職する可能性がある — 育児・介護で収入が減る見込みがある場合
  • 諸費用を抑えたい — 初期費用の負担を減らしたい場合

単独ローンが向いている世帯

  • 片方の年収だけで無理なく返済できる — 返済負担率25%以内に収まる場合
  • 離婚リスクを考慮したい — 財産分与の手続きがシンプルになる
注意:ペアローンや収入合算で借入額を増やしすぎないことが重要です。 「借りられる額」と「返せる額」は異なります。世帯年収に対する返済負担率は25%以内を目安にしましょう。

離婚時のリスクと対策

ペアローン・収入合算で見落としがちなのが離婚時の対応です。

  • ペアローン — ローンが2本あるため、片方だけ完済することができない。物件の売却か借り換えが必要
  • 収入合算(連帯保証) — 離婚しても連帯保証人の義務は消えない。金融機関の承諾なく保証人から外れることは原則不可
  • 収入合算(連帯債務) — 連帯債務者としての返済義務は離婚後も継続する
対策:万一に備えて、物件の売却査定額がローン残高を上回る(アンダーでない)状態を維持できるよう、 頭金をしっかり入れる、繰上返済を行うといった方法が有効です。

この記事の内容を実際にシミュレーションしてみましょう

住宅ローンシミュレーターで試してみる

まとめ

共働き世帯の住宅ローンは、夫婦の働き方・将来の見通し・借入額によって最適な方式が異なります。 ペアローンは減税と団信のメリットが大きい反面、諸費用とリスクも増えます。 まずはシミュレーターで返済額を試算し、無理のない借入計画を立てましょう。