住宅ローンケーススタディ

高田亮介 | 公的機関データに基づき作成

共働きで住宅ローン5,000万円はきつい?年収別返済額【2026】

共働きなら住宅ローン5,000万円を返せるのか。結論から言うと、世帯年収1,000万円なら比較的余裕を持ちやすく、800万円では収入減への備えが必須、 700万円では家計条件によって「きつい」水準です。 同じ5,000万円でも、金利1.0%と2.0%では月々の返済額に約2.4万円、 35年間の利息に約1,000万円の差が生じます。

この記事では、借入5,000万円・元利均等返済・ボーナス払いなし・35年返済を前提に、 当サイトの計算エンジンで金利別の月額、年収700万・800万・1,000万円の返済負担率、 育休や時短で収入が下がった場合を試算します。金融機関が「貸せる」と判断する金額と、 子育てをしながら「返し続けられる」金額は別です。契約前に両方を確認しましょう。

試算条件
・借入額5,000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなし
・金利は全期間一定と仮定し、融資手数料・保証料・団信の上乗せ金利は含めない
・返済負担率は「年間ローン返済額÷額面の世帯年収」で計算
実際の適用金利や審査方法は金融機関、物件、借り手の条件によって異なります。

住宅ローン5,000万円の月々返済額はいくら?

まず、5,000万円を35年で借りた場合の返済額を金利別に比較します。 住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月)」では、実際に借りた人の金利帯は 年0.5%超〜1.0%以下が53.4%で最多でした。一方で、1.0%超〜1.5%以下の割合は前回より増えており、 低い金利だけで返済計画を固定するのは危険です。

金利月々返済額35年間の総返済額うち利息
0.5%130,0005,451万円451万円
1.0%141,0005,928万円928万円
1.5%153,0006,430万円1,430万円
2.0%166,0006,957万円1,957万円

金利1.0%なら月々約141,000円、1.5%では約153,000円です。金利2.0%まで上がると月々約166,000円になり、 1.0%との差は毎月約24,000円です。

ここに固定資産税、火災・地震保険、マンションなら管理費・修繕積立金、戸建てなら将来の修繕費が 加わります。つまり月15万円のローンを払えることと、月15万円で家を維持できることは同じではありません。 金利だけでなく、住宅関連費をすべて含めて家計を確認する必要があります。

世帯年収700万・800万・1,000万円で返済負担率を比較

次に、年収別の返済負担率を見ます。住宅金融支援機構の2026年1月調査では、実際の利用者で最も多い 返済負担率は15%超〜20%以内(26.2%)でした。 一方、フラット35の申込要件は年収400万円以上なら総返済負担率35%以下です。 35%は審査基準であり、生活に余裕がある水準を意味するものではありません。

世帯年収金利0.5%金利1.0%金利1.5%金利2.0%
700万円22.3%24.2%26.2%28.4%
800万円19.5%21.2%23.0%24.8%
1,000万円15.6%16.9%18.4%19.9%

世帯年収700万円では、金利1.5%で負担率26.2%、2.0%では28.4% です。審査基準内に収まる可能性はあっても、教育費、車の買い替え、老後資金の積立まで考えると余裕は限られます。

年収800万円では金利1.5%で23.0%。 通常時は成立しやすいものの、夫婦どちらかの収入が下がると急に30%を超える可能性があります。 年収1,000万円なら同条件で18.4%となり、 住宅金融支援機構調査の最多帯に入ります。ただし、私立進学や高額な自動車ローンなどがあれば別途検証が必要です。

返済負担率には他の借入れも含まれます。
フラット35では、自動車ローン、教育ローン、カードローン、分割払いやリボ払いなども年間返済額に含めます。 住宅ローン単体の負担率だけで判断せず、夫婦双方の既存借入れを確認してください。

金利1.5%なら、必要年収はいくらになる?

月々約153,000円を基準に、目標とする返済負担率から必要年収を逆算すると、 5,000万円ローンの位置づけが分かりやすくなります。

目標負担率必要な世帯年収考え方
20%920万円実態調査の最多帯に近い
25%740万円収入減や教育費を別途確認
30%620万円家計の余白が小さくなりやすい
35%530万円審査上限の目安で、生活上の安全ラインではない

負担率20%に抑えるには世帯年収約920万円、25%なら約740万円が必要です。 ただし、これは額面年収に対する住宅ローンだけの割合です。手取り収入に対する負担、住宅維持費、 教育費を加えたキャッシュフローでは結果が変わります。

育休・時短・1馬力で5,000万円ローンはどう変わる?

共働きで最も重要なのは、申込時の世帯年収ではなく返済期間中に最も収入が低くなる時期です。住宅金融支援機構の2026年1月調査では、ペアローンまたは収入合算を使った人は38.7%でした。 借入額を増やしやすい一方、2人分の収入が長期間続く前提になりやすい点に注意が必要です。

厚生労働省によると、育児休業給付は原則として休業開始から180日目まで休業前賃金の67%、 181日目以降は50%です。一定の要件を満たして夫婦ともに14日以上育休を取る場合、出生直後の最大28日間は 13%の出生後休業支援給付が上乗せされ、合計80%になります。ただし、この上乗せは最大28日間であり、 35年返済の全期間を支えるものではありません。また給付額には上限があります。

金利1.5%の月々返済額を変えず、世帯年収800万円から収入が下がるケースを単純化して比較します。

家計の状態仮定する世帯年収返済負担率確認ポイント
通常時800万円
夫500万円+妻300万円
23.0%通常時だけでなく収入低下時も試算する
育休・時短期の仮定600万円
世帯年収が200万円減るケース
30.6%教育費・保育料・住宅維持費を加えると余白が小さい
1馬力になった場合500万円
夫の年収のみで返済するケース
36.7%審査基準の35%も超えるため、事前対策が必要

この表の600万円・500万円は制度上の給付額を再現したものではなく、収入変動への耐性を見るためのケースです。 実際の育休給付や時短後の賃金、復職時期は世帯ごとに異なります。勤務先の制度と厚生労働省の試算ツールで 受取額を確認し、ライフプランシミュレーターに期間別の収入を入力してください。

5,000万円を借りる前に確認したい6項目

1. 夫婦どちらかの収入だけで何年耐えられるか

「単独年収でも一生返せるか」まで求めると購入できる住宅が極端に限られる場合があります。 現実的には、育休・時短・転職などで収入が下がる期間を年単位で置き、その間の赤字額を確認します。 赤字が出るなら、購入前に補填資金を分けて確保します。

2. 金利が1%上がっても家計が黒字か

借入5,000万円では、金利1.0%と2.0%の月額差は約24,000円です。変動金利を選ぶ場合は、現在の適用金利だけでなく、少なくとも1〜2%高い条件でも試算します。 変動金利の返済額の見直しルールは金融機関・商品によって異なるため、契約書の商品説明を確認してください。

3. 教育費ピークと返済時期が重ならないか

35年ローンは、子どもの高校・大学進学期と返済が重なりやすい契約です。 今の保育料だけで判断せず、公立・私立、自宅通学・下宿の希望を複数パターンで置きます。 教育費の総額は子どもの教育費の記事と教育費シミュレーターで確認できます。

4. 住宅以外の固定費を差し引いたか

車、保険、通信費、習い事、帰省、旅行など、世帯ごとに削りにくい支出があります。 返済負担率が同じでも、必要生活費が高い世帯ほど5,000万円ローンは重くなります。 過去12か月の実績から固定費と年間特別費を出し、残った金額で返済可能性を判断します。

5. 頭金を入れた後も現金が残るか

借入額を減らすために貯蓄を使い切ると、引っ越し直後の家具・家電、修理、収入減に対応できません。 頭金の多さだけでなく、購入後に残る生活防衛資金を確認します。住宅購入時の諸費用は住宅購入の諸費用早見表も参考にしてください。

6. ペアローン・収入合算・単独ローンを比較したか

ペアローンは2人がそれぞれ債務者となり、条件を満たせば2人とも住宅ローン減税を利用できますが、 契約や登記の費用が2本分になり、離婚・死亡・退職時の整理も複雑です。収入合算は商品により連帯債務型と 連帯保証型があり、団信や減税の扱いも異なります。借入可能額だけで選ばず、ペアローン・収入合算の比較を確認してください。

この記事の判定は融資審査の可否を示すものではありません。
金融機関は勤続年数、年齢、健康状態、信用情報、物件の担保評価なども確認します。 また、返済負担率が低くても、家族構成や支出によって家計が苦しくなる場合があります。

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まとめ

住宅ローン5,000万円の月々返済額は、35年返済なら金利1.0%で約141,000円、1.5%で約153,000円、2.0%で約166,000円です。 金利1.5%の場合、世帯年収700万円の返済負担率は26.2%、800万円では23.0%、1,000万円では18.4%になります。

共働きで大切なのは、通常時に払えるかではなく、育休・時短・転職・教育費ピークでも返せるかです。 5,000万円が「きついか」は年収だけでは決まりません。金利上昇、収入の谷、住宅維持費、教育費を 年ごとに並べ、最も厳しい年でも資金が不足しないことを確認してから借入額を決めましょう。

出典・参考資料