高田亮介 | 公的機関データに基づき作成
住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?借入可能額の安全な目安
「自分はいくらまで住宅ローンを借りられるの?」——住宅購入を検討し始めたとき、最初にぶつかる疑問です。 銀行の審査上限と、実際に無理なく返済できる金額には大きな開きがあります。 この記事では、年収・月々の返済額の2つの視点から借入可能額を正しく把握する方法を解説します。
借入可能額を決める2つの基準
借入可能額には「審査上の上限」と「家計から見た安全ライン」の2種類があります。 銀行の審査上限は年収の7〜8倍程度まで通ることもありますが、 それが返済可能な金額とは限りません。
| 基準 | 目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 審査上限 | 年収の7〜8倍 | 金融機関が融資可能と判断する上限額 |
| 安全ライン | 年収の5〜6倍 | 返済負担率25%以内に収まる借入額 |
方法①:月々の返済額から逆算する
最もシンプルな方法は、毎月無理なく払える金額から借入可能額を逆算する方法です。 元利均等返済の場合、以下の式で計算できます。
たとえば月10万円を返済に充てられるとして、金利0.5%・35年ローンなら約3,852万円まで借入可能です。同じ月10万円でも金利1.5%なら約3,265万円と、 約600万円もの差が生まれます。
方法②:年収と返済負担率から計算する
もう一つの方法は、年収から逆算する方法です。 返済負担率(年間返済額÷年収)が25%以内なら安全圏とされています。
| 年収 | 安全な年間返済額(25%) | 月額返済額の目安 | 借入可能額(0.5%・35年) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 100万円 | 約8.3万円 | 約3,200万円 |
| 500万円 | 125万円 | 約10.4万円 | 約4,010万円 |
| 600万円 | 150万円 | 約12.5万円 | 約4,820万円 |
| 700万円 | 175万円 | 約14.6万円 | 約5,620万円 |
| 800万円 | 200万円 | 約16.7万円 | 約6,430万円 |
「年収の何倍」だけでは危険な理由
「年収の5〜7倍が目安」という情報は広く知られていますが、 同じ年収でも手取り額・家族構成・既存の借入によって安全な借入額は大きく変わります。
手取り(可処分所得)ベースで考える
年収500万円の手取りは約400万円、年収700万円の手取りは約540万円です。 返済負担率は額面年収ではなく手取りの25%以内で計算するのが安全です。
| 年収(額面) | 手取り目安 | 額面25%の月額返済 | 手取り25%の月額返済 | 借入額の差(0.5%・35年) |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 約400万円 | 約10.4万円 | 約8.3万円 | 約810万円 |
| 700万円 | 約540万円 | 約14.6万円 | 約11.3万円 | 約1,270万円 |
審査で見られる年収以外のポイント
金融機関の住宅ローン審査では、年収以外にも以下の要素が借入可能額に影響します。
- 既存の借入(車のローン・カードローン等) — 年間返済額に合算されるため、車のローン月3万円があるだけで借入可能額が約500万円減る
- 勤続年数 — 多くの銀行が勤続1年以上を条件とする。転職直後は審査に通りにくい
- 雇用形態 — 正社員が最も有利。契約社員・派遣社員は借入可能額が下がる傾向。 自営業者は直近3年の所得で判断される
- 個人信用情報 — クレジットカードの延滞履歴があると審査に大きく影響。 携帯電話の分割払いの延滞も信用情報に記録される
- 完済時年齢 — 80歳完済が上限の金融機関が多く、45歳以上では35年ローンが組めないケースがある
金利と返済期間で大きく変わる
同じ月10万円の返済でも、金利と返済期間の組み合わせで借入可能額は大幅に変動します。
| 金利\期間 | 25年 | 30年 | 35年 | 40年 |
|---|---|---|---|---|
| 0.3% | 2,910万 | 3,470万 | 4,020万 | 4,560万 |
| 0.5% | 2,870万 | 3,400万 | 3,852万 | 4,440万 |
| 1.0% | 2,720万 | 3,210万 | 3,600万 | 4,090万 |
| 1.5% | 2,580万 | 2,990万 | 3,265万 | 3,640万 |
| 2.0% | 2,450万 | 2,790万 | 3,010万 | 3,310万 |
借入可能額を調べる3ステップ
実際に自分の借入可能額を調べるには、以下の手順がおすすめです。
- 月々の返済予算を決める:現在の家賃の8割、または手取り月収の20〜25%が目安
- シミュレーターで逆算:月額予算・金利・返済期間を入力して借入可能額を確認
- 返済負担率をチェック:年収に対する返済負担率が25%以内に収まっているか確認
この記事の内容を実際にシミュレーションしてみましょう
借入可能額シミュレーターで試してみるまとめ
借入可能額は「月々の返済額からの逆算」と「年収×返済負担率」の2つの視点で確認しましょう。 銀行の審査上限ではなく、返済負担率25%以内の安全ラインを基準にすることが、 長期的に安定した住宅ローン返済の第一歩です。 金利や返済期間によって借入可能額は大きく変わるため、 複数の条件でシミュレーションしてから物件探しを始めることをおすすめします。